MASSLESS WITH KOZUE AKIMOTO VOL2

Vol.2
無二のアイコン、秋元梢のスタイルをつくる原点とは?|masslessインタビュー後編
シャープに揃えられた前髪と、まっすぐに伸びる漆黒のヘア。モード界が注目するファッショニスタであり、masslessデビューコレクションのモデルでもある秋元梢さんの、特別インタビュー後編をお届け。ブランド選びからサステナビリティとの向き合い方まで語ってくれた前編に続き、今回は自身のスタイルについてフィーチャー。

日本を代表するファッションアイコンの梢さんですが、改めてご自身の服装を分析すると?
普段は99%黒い服しか着ません。と言うか、黒い服以外ほとんど持っていない、と言うのが正しいかな。笑 窮屈になるのが好きじゃなく、楽に着られるオーバーサイズなアイテムが多いですね。好きな物がコロコロ変わるタイプではないので、ジュエリーも常に同じ物、洋服によってアイテムを変えると言うことはほとんどしません。すでに好きな物が厳選されているのかな。オーバーサイズが好きで、レディースだから、メンズの服だから、と言った基準ではなく、自分が気に入った服を手にしているので、今回の「massless」さんのコンセプトから作られた洋服達も、すっと自分に馴染んで、着心地も、気持ちも、良かったです。
基本的に、髪型、洋服、ジュエリーなど、自分のスタイルが決まっていますが、年に4回訪れているパリコレや、お仕事の時など、バランスを見て、足し算引き算することもあります。
モデルと言う職業で、沢山の洋服に触れる機会があるので、秋元梢自身が、ブレずに、好きな物だけ身に纏える、強くいられるのかな?と思っています。
時をへて辿りついた、「好き」とTPOの調和

モデルという職業柄なのか、自身のファッションを客観視しているのが印象的です。昔と比べると、スタイルに対する考え方に変化はありましたか?
今振り返ると昔の方が「この服を着ていくんだ」と頑固だったかもしれません。今は少しリラックスしていて柔軟になってきたし、引き算・足し算が上手くなったのかなとは思います。
自分的にはリラックスしたコーディネートにしても、凄く派手に見られたり、その時の自分だけでなく、これまでの秋元梢のイメージが残ってると言うか、秋元梢フィルターがかかって見られてるなって思うことも沢山あります。
なので、今思うと“秋元梢”とは?=“キャットラインに赤リップ!”“黒い洋服!!”と、自分自身で決めつけていた時期もありましたが、必要以上に強く見えすぎるって事に気付いてからは、いつ、どこで、どんな環境なのか、どう見えるのかと言うことを考えるようになりました。わざわざ強くしなくても、強く見えるので。笑
ファッションが好きなので、色々なジャンルを着ることが楽しいのですが、ざっくりとその場に居合わせて、嫌な違和感がないように、場所や目的に合わせて服装は考えるようにしています。

柔軟に変わっていくものと変わらないものの組み合わせが、今心地よいと感じられる「梢さんらしさ」を作っているのですね。では、自分のスタイルを見つけたいと願う方へアドバイスをするとしたら?
やっぱり、まずは試してみることが大事かな。私は小さい頃からファッションが好きで、お小遣いを持って電車に乗って原宿に行き、「手持ちでどんな服が買えるか」を小学生ながらに考えていました。小学校にボンテージパンツを履いていったりするようなパンクロック系で、いわゆる普通の小学生の格好ではなかったですが。笑 自分の洋服遍歴で言うと、パンクロック系、V系、原宿系カジュアルやギャルもストリートも、ありとあらゆるジャンルを通ったかな。ふと、自分のファッションって?と考えた時に、色んなジャンルが混ざっているけど、何かまとまっている気がして。「黒」「かわいいよりかっこいい」「媚びない」みたいな、自分のコアな部分に気付けた瞬間があり、それからはずっと変わらないですね。自分の好きなスタイルを見つけるために、色々トライしてみてほしいですね。トライしないと似合う似合わないもわからないので。
「似合わせる」工夫も、ファッションの醍醐味

自分の「好き」も、試行錯誤するなかで際立ってきたということですよね。その好きなスタイルを日常に落とし込むために、大切にしていることはありますか?
好きなものと似合うものがちがうことってありますよね。人に批判されないように好きなものを諦める必要はないと思うけれど、自分に似合わせにいくことも大事。モデルと言う仕事柄、自分サイズじゃない衣装を着ることも沢山ありますが、衣装に着られて変に見えるのも嫌だし、素敵な衣装をベストな状態で着たいので、自分で縫ったり、安全ピンで止めたり、インソールを入れたり、デザインを壊さず、自分の体に合わせてシルエットやバランスを調整したりしています。
今回着た「massless」さんのデニムパンツも、ベルトでぎゅっとウエストを絞って着たら、背が小さい方でも大人の人でも自然に着こなせるはず。一見「ボリュームが多いかも?」と思っても、合わせるアイテムや、工夫次第で自分に一番似合ってると思わせてくれるデザインだと思うんです。こうやって試行錯誤しながら自分の「好き」と「似合う」を擦り合わせていくのもファッションの楽しい部分ですよね。
CREDIT
Model: Kozue Akimoto / Photo: 217..NINA / Styling: Yoko Miyake / Hair: Shotaro(sense of humour) / Makeup: Sada(sense of humour) / Direction & Text: Makiko Oji